塩析をゆるく解説~石けんを作っていると必ずぶつかる問題~
塩析をしようと考えた頃、必死になってネット検索をしましたが、ピンとくるものに出会えませんでした。
そもそも、塩析とはどういったものかを理解出来なかった(なんとなくは分かりますよ)し、スタンダードな手順を解説しているものもをみつけられず、確信もない状態で挑戦してました。
やっと納得出来たので、ゆるめに解説してみます。
塩析ってなに?
ものすごく簡単に説明すると、塩水を使って純度の高い石けんを取り出す工程という事になります。
石けんは水に溶けますね。そこに水分を引き寄せる力の強い『塩』を多く加えることで、水に溶けた石けんから水分を奪う事が出来ます。
水分を奪われた石けんは固形となって、浮いてくるのです。
なぜ、浮くのか?
それは、色んなもの(グリセリンとか、混ぜたオプション類とか、不純物とか)が混ざっている水よりも石けんの方が軽いから、なんです。
塩析の方法
油脂に苛性ソーダをまぜ、鹸化させたあとに濃い食塩水を加え、10分程度加熱し十分に撹拌したのちに24時間ほどおきます。
実際にはしっかり冷めれば良いので、24時間も必要無い場合もあるでしょう。
ただ、全体が冷めて(温度が下がっている)いるのか、確認することが難しいので、24時間くらい放置しておく方が確実だという事です。
しっかり冷ますと石けんは上部に固まった状態になっています。
固まった石けんを取り出すと、石けんの下には余分なものが残っています。
取り出した石けんにまだ匂いが残っている、真っ白になっていない場合は上記の工程を繰り返し行うのです。
十分に塩析出来た石けんは透明なゼリー状になっています。これを石けん膠(せっけんにかわ)と言います。
この石けん膠をお玉などですくい取って、なるべく縦長の容器に入れていきます。
牛乳パックが一番手っ取り早いです。
これは、石けんが小さな結晶の集まりから成っているためです。
ひらたい容器で冷ますよりも深さのある容器で石けん自体の重さを利用して余分な水分を抜く方が適しているのです。
これを半日から丸1日後に取り出し、乾燥させると純度の高い石けんの出来上がりです。
固形として使いたい場合は包丁などでカットしてから乾燥させます。
粉状にしたい場合はまだ湿っている状態であらかた潰してしまうのが楽です。
塩析で分からなかったこと
わたしが塩析について調べていて、疑問というか納得出来なかったことですが、それは
- 苛性ソーダを加える
- 塩の量、加える水の量がハッキリされていない
この二点でした。
なぜ苛性ソーダを加えるのか、その理由がなかなか分かりませんでした。
また、食塩水とは書かれていますが、濃度や食塩水の量が分からず、困りました。
苛性ソーダを加える理由
苛性ソーダを加える大きな理由は過剰油脂を無くすためです。
多すぎる苛性ソーダ=アルカリは、その後の塩を加える工程で取り除く事が出来ます。
苛性ソーダを加える状況とは、廃油から作る石けんでもなんでも良いのですが、石けんの純度を限りなく100%に近づけたい場合に行います。
理論上の話になりますが、廃油から作る石けんでも純度の高い石けんになるというわけですね。
わざわざ苛性ソーダを減らし(ディスカウント)て作られている、手作り石けんでは必要のない工程です。
まぁ、出来上がった石けんが酸化してしまった場合や、洗濯用の石けんにしたい時には必要になってきますけども。
塩や水の量が分からない
これは、ハッキリと明記出来ないようです。
塩は水の中に26%以上溶け込む事が出来ません。最高濃度の食塩水は26%までということになりますね。
石けんに水を量らずに入れていった場合には、適当に塩を加えていって底に溶けきっていないザラザラした塩の存在を感じる状態で26%の濃度の食塩水であると言えます。
塩や水の量がハッキリしない理由の一つに、塩析したい石けんの状態が違うというのもあります。
カットした石けんなのか、型入れする頃の石けんなのか、その条件で含んでいる水分量が違う事はお分かりかと思います。
乾燥仕切った石けんに水を加えるのと、まだ多くの水を含んでいる型入れ前後の石けんとでは、同じドロドロ状態を作るのに加える水はこのくらいですよ、と提示出来ないですよね。
塩分濃度は濃い方が塩析する回数そのものは減らす事が出来ます。
塩析する回数は、真っ白な状態にまでしたいのかといった、自分の理想とする石けんによって変わって来ます。
石けん膠にならない場合
塩が少ないか、水が多いかでドロッとした石けん膠にならない場合ですが、少しずつ塩を足してみてください。
塩を少しは、本当に少しです。小さじ半分づつくらいを言います。
塩を少し加え、5分はかき混ぜながら様子をみてくださいね。
あるとき急に石けん膠が出来はじめます。
塩が多いと多すぎた分だけ石けんの中に塩が残ります。
残っても良いならそれで良いのです。
塩析した石けんの使い道
廃油から作った石けんで身体を洗ったりしないと思うので、この場合はキッチンソープにするか、粉石けんになりますね。
キッチン用や洗濯用にするには勿体ない場合には、細かくしてから乾燥させ、いつもよりもディスカウントを大きくした石けんタネの中に入れ込むと、さっぱりした夏向き石けんにすることもできます。
普通肌の方でしたら、純度が高くて良質なオイルで作られた良い石けんなので、そのまま普通に石けんとして使えます。
塩が混ざっているので、ツルツルと気持ちの良い使い心地になっています。
まとめ
塩析についてあまり難しい言葉を使わずに説明してみましたがお分かりいただけたでしょうか。
この記事を書くために相当な資料を読みました。
頭の中が消化不良を起こして、お腹がいっぱいな状態です。
塩析は失敗してもやり直せるので、怖がらずに挑戦してみて下さいね!。
失敗すればするほどに純度の高い石けんが出来て行くだけです。
手作り石けんってやっぱり科学の世界だよね~と改めて感じました。