手作り石けんに【ミツロウ】を入れるということ
ミツロウを手作り石けんの中に入れたいソーパーさんは少ないでしょう。
わたしも石けん作りを始めた頃は使っていませんでした。
まず、イメージが悪かったのです。
これは多分、最初に目にした本の中で「ミツロウを石けんに入れる事の効果は無い」という一文が染みこんでいたためだと思います。
型入れを早くする以外の効果、効能は無いのだと思い込んでしまったんですね。
手作り石けん最大の難点
使い心地が良くて、お気に入りの石けん達。
この石けん達の最大の難点は、小さくなるのが早いということです。
釜焚き石けんのように、お風呂場に放置する事も出来ませんよね。
うっかり忘れてしまったら、石けんはかなり溶けてしまいます。
お風呂から上がるのと一緒に石けんを外に出していましたが、やはり減りが早いのもまた、事実です。
これはこれで、手作り石けんの運命なんだと諦めてしまえれば良かったのかもしれないのですが、諦めの悪いわたしは色々と調べていました。
溶けにくい石けんを作るためにはどうしたらいいのだろう?
答えは分かっていました。
ソフトオイルではなく、ハードオイルを増やせば良いのです。
分かってはいるのですが、ハードオイルを大きく増やしたくない理由がありました。
石けん作りを再開したのは、産後の肌が異常なまでに痒く、カスティール石けんで何とか落ち着いたためでした。
妊娠、出産を終えたばかりの身体は、ホルモンバランスがめちゃくちゃです。
落ち着いていたアトピー症状は悪くなっていましたし、経験したことの無い湿疹などの皮膚疾患が次々に襲ってきました。
そのために、大丈夫=痒くならない と分かっているオイル以外は怖くて使いたくなかったのです。
アトピー肌を調べていて分かったこと
アトピーの肌ってそもそもどうなっているのか、改めて調べていきました。
肌のバリア機能が低い
このことは知っていましたが、本当の意味で理解していませんでした。
健康な肌は、外からの刺激(乾燥、温度、バイ菌の侵入など)を防ぐ機能が正しく働いていますが、アトピー肌はこの機能が弱っている、もしくは著しく低下しているのです。
肌の表面を拡大して見てみると、アトピー肌は毛羽だっていて、アレルゲンは侵入しやすいし、乾燥もし放題です。
どうも、元々ロウ成分が少ない事が原因のようでした。
ここで、ん??となりませんか。
そう、『ロウ』です。
ちょっと怖いけど、試しにミツロウを入れた石けんを作ってみることにしました。
ミツロウを石けんに入れる。その1
ミツロウの融点は高く、61~66度です。
湯煎をしてもなかなか溶けてくれません。
溶けたとしても、オイルの温度は65度前後と、かなり高い温度になっています。
ここに40度の苛性ソーダ水を入れるとどうなるか、想像出来ますよね。
タネはグングン温度が上がると、簡単に予測できます。
ここで、考えられることは二つです。
- 苛性ソーダ水の温度をめちゃくちゃ下げておく
- オイルをある程度冷ましてから苛性ソーダ水を入れていく
まず、①の苛性ソーダ水の温度を下げるのは当然やっておく事としました。
では、②のオイルの温度をある程度下げてから、撹拌を開始するですが、オイルの温度を下げるのはかなり時間がかかります。
また、ミツロウが入っているため、45度くらいまで下げる事が出来ませんでした。
苛性ソーダ水を入れなくても、トレースか?と思ってしまうような状態になります。
結果的には45度近くまでオイルの温度を下げたとしても、苛性ソーダを加えると温度は上がっていくので、なんちゃってトレースはすぐに消えてしまいます。
ミツロウを石けんに入れる。その2
オイルの温度を下げて撹拌を開始すると、トレースが出るのが非常に早いです。
撹拌開始から20分前後でトレースが出ました。
容器を始めから準備していなければ、相当慌てる状況になります。
撹拌の時間が20分って・・・・
撹拌している時間も手作り石けんの楽しみの一つじゃないですか。
なのに、20分で終了って、ちょっと寂しい・・・
ミツロウ石けんを実際に使ってみた感想
ベースにアトピー性皮膚炎がある人間が使った感想です。
お風呂上がりにドンドン肌が乾燥していくのが分かる季節でしたが、しっとりした状態をキープしていました。
実験も兼ねて、1週間は保湿剤を使いませんでしたが、特に保湿剤を足したいとは思いませんでした。
アトピー仲間にも協力していただいて、使ってもらいました。
「お風呂に入る前よりも肌がしっとりしてる!」
「こんなスベスベした肌になれるって思わなかった。」
※わたしの周囲の人達の感想なので、ご了承ください。
自分が使う石けんにはミツロウは必須と、感じた瞬間でした。
ミツロウで失敗した例
ミツロウを入れるという事は、失敗例も多く経験します。
調子に乗っていろいろやっちゃった例です。
ハチミツ注意
ハチミツに限らず、糖分を含むオプションを入れる場合は、温度が急上昇しますので、慎重に入れて下さい。
入れる時には本当に少しづつです。
小さじ1杯くらいを入れて撹拌し(しっかり撹拌ではありません)、変化がなければまた入れるを繰り返しましょうね。
調子に乗ったわたしはドバっと入れてしまい、見事にタネが分離しました。
オプション注意
ハチミツ以外にもアロマオイルや、その他オプションを入れる時には少しずつが無難です。
欲を出してミルクも入れたら、これまた分離しました。
開始温度は要注意
扱いに慣れてくると、ついやってしまうのが、適当な温度管理です。
温度計で測ったりはしませんが、ミツロウが溶けてすぐに苛性ソーダを入れたりすると、見事に分離します(笑)
開始温度は低いにこしたことは無いようです。
まとめ
[box03 title=”ミツロウを入れる場合の注意点”]・オイルを湯煎した後は温度を下げる
・苛性ソーダ水は出来るだけ温度を下げておく
・オプションは少しずつ入れる
・容器は最初から準備しておく[/box03]
となります。
ミツロウはオイル全体の2~6%までと言われています。
5%を越えるとかなりヘビーになります。
真冬に2%はもの足らない感じでした。
合わせるオイルにもよると思いますので、良い頃合いを見つけてみてくださいね。